『親鸞 人生の目的』制作秘話と裏話｜監督・脚本家・キャラクターデザイナー・音楽担当が語る作品への想い

アニメ映画『親鸞 人生の目的』は、その深いテーマや美しい映像だけでなく、制作スタッフの熱意とこだわりが詰まった作品です。

監督・青山弘氏をはじめ、脚本家の塩味鷹虎氏と和田清人氏、キャラクターデザイナーの大西雅也氏と西川千尋氏、音楽担当の篠田大介氏らが、それぞれの立場から作品への思いや制作過程を語っています。

本記事では、制作現場の裏話や完成までの道のりを紹介し、『親鸞 人生の目的』がどのようにして生まれたのか、その舞台裏に迫ります。

監督・青山弘が語る『親鸞 人生の目的』への想い

『親鸞 人生の目的』の制作を指揮したのは、経験豊富なアニメーション監督・青山弘氏です。

青山監督は本作を「ただの歴史物語ではなく、現代を生きる私たちへのメッセージとして届けたかった」と語ります。

制作当初から「親鸞聖人の内面をどう表現するか」が最大の課題だったと話し、そのこだわりが随所に反映されています。

青山監督は「親鸞という人物の深さを描くためには、表面的な歴史再現では足りない」と感じていたそうです。

そこで、親鸞の葛藤や迷いを映像でどう見せるかに特に注力。

例えば、静寂の中に響く足音や視線の動き一つにも、親鸞の心情を反映させています。

「この作品を観た人が、自分自身の人生を考えるきっかけになれば嬉しい」と語る青山監督。

親鸞聖人の生き様を通して、困難に向き合う勇気や「本当の幸せとは何か？」という問いを観客に投げかけています。

その想いが、物語全体に温かさと深みをもたらしています。

脚本家インタビュー｜塩味鷹虎＆和田清人が語る人間ドラマ

脚本を手がけた塩味鷹虎氏と和田清人氏は、親鸞聖人の生き方を単なる歴史描写に終わらせないよう心がけたと言います。

「親鸞の人生は、一人の人間が迷いながらも答えを求め続けた物語」と語る二人の脚本家は、親鸞の内面的な旅路を丁寧に描きました。

「親鸞は完璧な人間ではなく、私たちと同じように迷い悩んだ存在」と塩味氏。

だからこそ、強さだけでなく弱さや不安も脚本に盛り込み、観客が親しみを感じられるようにしたとのことです。

特に、法然との出会いや越後での生活は「人間としての親鸞」を描くうえで重要な場面だったと語ります。

和田氏は「歴史的な重みを損なわずに、現代の観客に伝わる言葉を選ぶのが難しかった」と振り返ります。

一つ一つの台詞には、親鸞が何を感じていたのかを徹底的に考えた上で言葉を選んだそうです。

その結果、親鸞の言葉が心に沁みわたるような仕上がりになっています。

キャラクターデザインの舞台裏｜大西雅也＆西川千尋のこだわり

キャラクターデザインを担当した大西雅也氏と西川千尋氏は、登場人物の表情や姿勢に「生きた人間」を感じさせることを目指しました。

特に親鸞聖人については、年齢ごとの変化をどう描くかが大きな課題だったと言います。

青年期の親鸞は目に強い意志を宿らせ、晩年の親鸞は穏やかな表情で描かれています。

「ただ老けさせるのではなく、経験を積んだ人間だけが持つ柔らかさを表現したかった」と大西氏。

細かなシワや姿勢の違いで、親鸞の心の変化を視覚的に伝えています。

西川氏は「親鸞だけでなく、周囲の人々の表情にも注目してほしい」と話します。

玉日姫の優しい眼差しや弟子たちの葛藤を表す表情は、言葉以上に物語を語っているとのことです。

こうした細やかなデザインが、登場人物たちをより身近に感じさせています。

音楽担当・篠田大介が語る音楽制作の裏話

音楽は物語の感動を一層引き立てる重要な要素です。

篠田大介氏は「音楽で親鸞の心情を表現することが使命だった」と語ります。

篠田氏はシーンごとに異なる感情を表現するため、オーケストラと和楽器を組み合わせました。

「親鸞が悩む場面では、音を極力抑え、沈黙の重みを感じさせた」とのことです。

音楽が言葉の代わりに感情を伝える場面は、観客の心に深く残るはずです。

劇中の音楽は物語を支える影の主役ですが、エンディング曲「ハナノカオリ」もまた特別な存在です。

篠田氏は「最後に余韻を持たせることで、親鸞の旅路を観客の心に刻みたかった」と話しています。

その願いは、聴く人の胸にしっかり届いていることでしょう。

スタッフが明かす制作現場の舞台裏

壮大な物語を映像化する過程では、数えきれないほどの挑戦があったとスタッフは語ります。

ここでは、制作の裏側に迫り、完成までの道のりを振り返ります。

企画段階から完成までにかかった期間は約3年。

特にシナリオの完成には多くの時間を費やし、試行錯誤の連続だったそうです。

スタッフ一人ひとりの努力が積み重なり、ようやくスクリーンに親鸞の物語が映し出されました。

「大変な時ほど、チームの結束が強くなった」と語る制作スタッフ。

役割は違えど、全員が同じ目標に向かって進む力が作品に息を吹き込みました。

このチームワークこそが、『親鸞 人生の目的』に深みと温かさをもたらした要因です。